8.自己収縮

◆自己収縮とは
セメントの水和反応によって生成された内部空隙に対して、空隙周辺部からの水の供給が無い場合や水の浸透速度が空隙形成に間に合わない場合、自己乾燥状態となる。そのため自己乾燥により間隙水に発生する毛細管張力により収縮する。
=セメントの水和により凝結始発開始以後に生じる体積減少
※凝結始発・・・JISでは貫入抵抗値が3.5N/mm2となった時点

◆収縮量
通常のコンクリートでは乾燥収縮の1/10程度(1桁程度小さい)
しかし、近年使用される高強度コンクリートなどでは乾燥収縮と同程度かそれ以上の自己収縮を生じる。

◆自己収縮の考慮が必要なコンクリート
高流動コンクリート、高強度コンクリート(W/Cの小さいコンクリート)

◆自己収縮に影響を及ぼす要因
【大きくなる要因】シリカフューム、高炉スラグ微粉末(置換率大、粉末度大)、低水結合材比、アルミネート相(C3A)の含有量の大きいセメント

【小さくなる要因】フライアッシュ、石灰石微粉末
高温だと進行速度は速くなる傾向があるが、コンクリートの最高温度が高くなるほど20℃条件下より自己収縮が小さくなる傾向がある。(ただし、高炉スラグ微粉末を用いた配合では高温履歴を受けた方が自己収縮が大きくなる)

◆機構
乾燥収縮のメカニズムと同様、毛細管張力説が有力
凝結開始から数か月にわたって生じる。

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