11.直交異方性材料のせん断弾性係数

種類特徴せん断性係数
等方性材料すべての方向で同じ性質G x種類のみ
直交異方性材料3つの対称軸をもつGxy​,Gyz​,Gzx​ の3種類
一般異方性材料完全に方向依存最大6種類まで異なる可能性あり

まず等方性材料(例:鋼、アルミなど)ではせん断弾性係数Gは1つだけで以下の関係で表される。

 τ = G ⋅ γ
    τ:せん断応力
    γ:せん断ひずみ
    G:せん断弾性係数(一定)

一方、異方性材料(例:繊維強化複合材、木材、積層板など)では、方向によって力学的性質が異なるため、せん断弾性係数も方向ごとに異なる。

    ■異方性材料—————————————————————————————————————–
     基本の応力ひずみ関係

    ■せん断弾性係数の求め方————————————————————————————–

    (1)実験的に求める
    せん断弾性係数は、せん断試験やねじり試験から求めるのが原則
    例:G12の場合
     ・x1-x2面(繊維方向など)に沿って純せん断応力τ12を加える。
     ・その時のせん断ひずみγ12を測定
     ・比から算出  G12=τ12/γ12

    (2)複合材などの場合の理論推定式
    異方性が繊維方向や層構造などで生じる場合、材料の構成要素(母材と繊維など)の物性値から推定することがあります。
    たとえば一方向繊維複合材では:

    ・Gf ​:繊維のせん断弾性係数
    ・Gm​ :マトリックス(樹脂など)のせん断弾性係数
    ・Vf  ​:繊維体積分率

    (3) 応力–ひずみデータや剛性行列から数値的に求める(FEMなど)

    有限要素解析や実験データから、剛性行列 Cij​ を推定できる場合は:
       G23=C44 , G31=C55 , G12=C66

    または逆にコンプライアンス行列から:
      G23=1/S44 , G31=1/S55 , G12=1/S66     で求められる。

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